フリースクール等にアクセスできる「不登校」の子ども達がとっても少数な件について

どうもどうも。
突然の猛暑が6月にもかかわらず訪れてしまって既に一年のスタミナのほとんどを使い果たしそうなイマンモです。こんにちは。地球温暖化待ったなしですな。

さて、今日は言い訳なしで、いきなりテーマに行きたいと思います。
実は先日、練馬区の行政と民間フリースクールの連携について考える、区の主催による会議に出席してきました。

年々増え続ける、いわゆる「不登校」の問題に対して、行政側も手をこまねいているわけではなく、いやこまねいてはいるのだがこねくり回すぐらいはしてみたいと思っていたりして、いや、こねくり回してみても仕方がないのでやっぱり手をこまねいているわけです(何が言いたい?)。

まあ実際、国のレベルでは、今のところ、そもそも教育行政自体どうなんだと思う感じなわけですが、規模の小さい区や市のレベルのスタッフの中には、やはり真摯に現在の教育問題に取り組みたいと思っている人もいるんですな。
そんな行政のスタッフ側と、我々民間のフリースクールで、いろいろ協力できること、連携できることはないのかということで、こういう会議も区によっては開かれているわけです。

ということで、わたくしイマンモも6月初旬の某日、颯爽と我がヒルネットを代表して会議に参加してきたわけです。
そして、会場。
参加者の顔ぶれ。

めっちゃでかい法人ばっかりやんけ!

なんかN学とかトライとか来てるし。
それ以外でも、ちょーでかい古参フリースクールがほとんど。
なんや、わいらみたいな少人数フリースクールの来る場所ちゃうかったんやろか。。。。

・・・などと一瞬、緊張してしまいましたが、それもほんとに最初だけ。
いざ、会議が始まると。。。

誰よりも無駄に喋りまくるイマンモの姿がそこにあった(主観)

なんでしょう。何かの呪いにかかってるんでしょうか。
そういう場所にいると、どうしても話をせずにはいられなくなってしまう。なんなら自分とあんまり関係ない話にも、いっちょかみで話に割り込んでいく。
しかも、なぜかちょいちょい笑いのネタを仕込んでいく。

いや、実際には僕以外の人もいろいろ話してましたし僕と同じくらい話しまくってた人もいた気がするし、あくまでこれは僕の主観であって、そんなに悪目立ちしてたとは思わない。思いたくない。
それでもまあ、いろいろ会議のテーマに添いつつ種々の意見を言わせてもらったことは事実です(そしてネタを仕込んでいったのも事実)。

まあ、ともかく、そんな感じで種々のフリースクールの事務の人やら現場スタッフやらと行政の人たちが2時間ほど会議をしたわけなんですが、最終的には、ある一つの大きいテーマが僕的には浮かび上がったなあと思いました。
では、どんなテーマが話題となったか。
そのことが今日、この記事でも書きたいことでもあるんですが、それはいわゆる「不登校」と呼ばれる状態にある子どもたちの、実は数パーセントしかフリースクールにアクセスできていない問題

そう。
実際、地方にいけば、フリースクールやオルタナティブスクールのような「場所」が、なかなか近くに存在しないようなケースもあるでしょう。
しかし、大都市圏、具体的には東京や大阪、名古屋周辺には、本当はたくさんのフリースクールが存在します。
それこそスクールの個性も多種多様で、大きいところもあれば、ウチみたいに少人数をうたっているところもある。教育方針だって様々です。だから、あるスクールに合わなくとも、別のスクールに行けば上手くいくというケースも多くある。

にもかかわらず、「不登校」等呼称される状態の子どもたちのほとんどが、フリースクールに通わない。通えていない事実。
これはいったい何でなんでしょうか?

会議でも様々な原因が語られました。
そこで以下、会議でも話され、僕も大きな理由だろうなと考える理由を、いくつか挙げてみようと思います。

1. フリースクールを知らない

まず、第一の理由が、これ。
そもそもフリースクール等の存在自体を、けっこう一般の人が知らない。
「そんなことないんじゃない?」とこの記事をお読みの方は思われるかもしれません。実際、僕もヒルネットを始めてみるまで、僕自身が大昔にフリースクールに通っていたこともあり、感覚的に誰でも知ってるような気がしていました。

ところが、ヒルネットを始めてから、種々の「不登校」に関わる相談を受ける中、特にプライベートでそうした相談を受けた際に、当の相談者が、フリースクール等の存在を全然知らないということが、結構多いことに気づいたのです。

しかし、考えてみれば、当たり前なのかもしれません。

我々もSNSなど通じて、なるべく自分たちの活動なんかを世に知らせようと努力はしているんですが、所詮はネット世界の片隅のかたすみ。
いわゆるマスに向けた広告なんかを出したりしている法人は、寡聞にしてあまり聞きません(といって、僕はテレビをまったく見ないので、断言はできないんですが)。
それこそN学さんやトライさんぐらいじゃないでしょうか。
そう考えると、そもそも通信制の高校の在り方だって、N学さんが大規模な広告をうってくるまで、あまり知られてなかったんじゃないでしょうか。
同じ理由で、高卒認定試験なんかのことも、意外と知らない人が多い印象です。

その理由は、いわゆる民間フリースクールの多くが小規模経営なため、そんな大きな広告を出せる資本がないということが大きいでしょう。あるいは資本があったとしても、あまり商業的なイメージをスクールにつけたくないということもあるかもしれません。

いずれにせよ、特に小学生・中学生くらいの年齢の子どもの選択肢として、フリースクールがそもそも認知されていない。
これがまず、第一の関門です。

2.学校等の公共機関との連携不足

皆さん、ご存じかどうか判りませんが、現在、フリースクールへの参加は、地元在籍校では校長判断で出席扱いになります。そういう文科省からのお達しがあるんですね。
もちろん、地元在籍校と保護者との関係や、その校長先生の考え方なんかによって、たまに出席扱いにならない場合もあるんですが、出席扱いになる場合がほとんどです。
で、学校に話を通せば、スクールに通うための通学定期も買えます。

こんな具合に、公立学校との連携・協力は徐々に進んできているのですが、一方で真の意味での協力関係というか、信頼関係を結べているかと言えば、いささか心もとない。

例えば、クラスで、学年で、「不登校」となったお子さんを、地元にある民間のスクールに学校側から紹介するようなことがあるかといえば、そういうケースは少ないでしょう。
幸いなことに、ヒルネットは西荻窪の公立中学から信頼していただけているようで、時折、中学校の方から紹介されたという形で、僕たちに問い合わせてくださる方もいます。
これは本当にありがたいことです。
というのも、繰り返せば、やはりこうしたケースは決して多くはないようだからです。

と言っても、これは学校等の公共教育機関が悪いわけではありません。
むしろ、民間のフリースクール等の方に「信用」がないことが原因です。

先ほど書いたように、フリースクールやオルタナティブスクールの教育方針は様々です。
それゆえ、逆にいうと、外部からはどんな教育が行われているのか見えにくい。
そのため、学校側としては軽々に「〇〇のフリースクールに行ってみればどうでしょう」と保護者の方々に推薦しにくいわけなんですね。

こうした、ある種の「不安」を取り除いて、学校等機関と真の協力関係を結ぶためには、自分たちの地域の学校をはじめ、公立教育機関に民間フリースクールの側から自分たちの活動をプレゼンテーションしていくような機会を多く持っていく必要があるかもしれませんね。

3.経済的な問題

実のところ、この問題は非常に大きい。
フリースクールやオルタナティブスクールの会費も、ピンからキリまでありますが、少人数・小規模ゆえに経営がギリギリだったり都心の教室家賃が高すぎたりといった理由で、そんな無茶苦茶に安くはできない。少なくとも公立校のように「無料」にすることはできない。
ヒルネット含めて、多くのフリースクールが寄付を募っていますが、継続的に支援を続けてくれるような人間や機関は、当然ながらそんなに居ません。

そうすると、どうしてもスクールに通う費用を捻出できないご家庭だって出てきてしまうわけです。

これが本当に僕たちフリースクール経営者にとっては悩ましい。
実際、上記の会議でも最も熱を帯びて議論されました。

目の前に、「不登校」に苦しんでいる子どもがいる。保護者も本人も、ウチに通いたいと思っている。
にもかかわらず、スクールに通う費用が捻出できないからと断念してしまう。。。

こうした事態を、指を加えたまま見ているのは、本当に断腸の思いです。

会議では、都や国レベルの行政府の方から助成金等の支援の話はないのか、あるいは各家庭に支援する形は取れないのか等、議論されました。

難しいのは、都や国が助成金等の形で、フリースクール等を支援することになってしまうと、おそらく間違いなく、一定の要件等を満たしているかなど、ある種の「縛り」ができてしまうだろうことです。そのルールに従って「認可 / 不認可」などの区別も生まれてしまうかもしれない。
そうすると、多様な学び、多様な教育方針をとることを一つのモットーとしているフリースクール等の民間の教育機関は、その存在意義が疑われる事態へと陥ってしまう。

だから、できれば各ご家庭に支援が行われる形が望ましいのでしょうが、これまた「不登校」のお子さんを抱えるご家庭にだけ、そうした支援を行うことは不平等だなんだという「不満」の声が世間から出てきそうな気もします。

ともあれ、目下、この経済的問題は、非常に切実な問題です。
しかし、ある意味では、知恵を絞れば、なんとかできそうな問題でもある。
我々フリースクール関係者はもちろん、行政府の方でも何か良い方策を思案・検討してもらいたいなと思っています。

4.そもそも当の子どもたちが「乗り気」じゃない

以上が、いわば外在的な理由となるでしょう。
最後に、内在的理由。つまり、実際にフリースクールに通ってもいい状況にあるにもかかわらず、そうしない少年・少女の内面的な理由について書いておこうと思います。

そして、実はこれが結構大きいのではないか? と僕自身は少し思っていたりもします。

それは、つまり当の彼・彼女自体がフリースクールなるものに通いたくないと思っているということです。

どういうことでしょうか。
理由は二つあります。

一つは「フリースクールに通うことを検討する」=「自分は世間一般に言う〈不登校児〉なのだと現状を自分で認めることになる」=「つまり、やはり自分は〈ふつう〉ではないのか?という思いに苦しむ」といった思考経路からくる葛藤が生まれることです。

僕自身も大昔に経験したことですが、「学校に行けなくなること」の理由は自分でもはっきりしたものではない。
そうした理由もあり、1週間、1ヶ月、半年と欠席が続いても、実は自分が「不登校」と世間で言われる状況に陥っていると、当の子ども本人が思いたくないという心理が生まれてしまうのです。
いや、正確に言うと(それが難しいのですが)、頭のどこかでは自分が「不登校」の状態にあると判ってはいるのですが、一方でそれを認めたくない。あるいは、自分の状況を客観的に考えさせまいとする心理的防御が働く状態になる。

ところが、フリースクールに通ってしまうと、その現状を完全に自分で「認める」ことになってしまう。あるいは、その選択肢を考えることで、現状を直視せざるをえなくなる。
つまり、「ふつうでない自分」を認めることになる。
これが、特に10代の少年少女にとっては辛いわけなんですよね。

この「ふつうでない自分」を認めて、「俺は世間一般の奴らとは違うんだ!」という開き直りが生まれてくると強いんですが、当たり前ですが、皆が皆、そんな強さを一朝一夕に身につけられるわけがない。
あるいは、いずれにしろ現状の自分の在り方のようなものを直視できる頃には、精神的にも成熟し、もはやフリースクール等を必要としない年齢になっていたりするわけです。

こうした心理状況が、彼・彼女らにフリースクールへ通うという選択肢を取らせにくくしている一つの内的理由です。

そして、もう一つ。
これは本当に、ある意味で当たり前のことなんですが、自分が知らない初めての「場所」=スクールを訪れるのが、怖い、不安だ、と思う心理があります。

大人だって、全く知らない「場所」に出かけていくときは多少は緊張するものですよね。
まして、社会経験の少ない少年・少女。
しかも、彼・彼女らはすでに学校生活のなかで、他者の集団に疲れ、ときに傷ついてきた経験を持っているのです。また、家にいる時間が長かった場合は、そもそも他者に慣れていない状態。
いずれにせよ、精神的に弱っている状態なわけです。

そんな状態のなか、「初めての場所」「初めて遭う同世代の他者」に対して不安を感じないはずがない。「怖い」と思うのが当然です。
えいやっと飛び込んでしまえば、後は楽になるかもしれませんが、そもそもそうやって飛び込むだけのエネルギーが、まだ不足している。

こうした心理状態が、例えば親御さんからの「こんなフリースクールがあるけど、どう?」といった提案に対して否とと答えさせてしまうのですよね。

したがって、以上の心理的・内的な原因については、わかりやすい「解決策」はない。
彼・彼女のなかでエネルギーが十分蓄えられ、自分からもう一度他者と向かい合い付き合っていきたいという思いが湧いてくるのを待つほかありません。
だから、この理由4については、僕たちができることは、親御さんたちの相談を聞き、また協力して子どもたちの中にエネルギーが満ちてきやすい環境を整えてあげることでしょう。

以上が、どうして「不登校」と呼ばれる状況にある子どもたちが、なかなかフリースクールにアクセスできないのか、という課題に対する僕なりの考えになります。
繰り返せば、四つ目に挙げた理由への簡単な「解決策」はなかなか無いかも。
でも、他の三つは僕ら民間の教育機関や行政、公教育機関がちゃんと協力できれば、解決できるような気もします。

なんとか多くの子どもたちが、既存の「学校」には通えずとも、仲間と楽しく笑い合いながら、様々なことを学べる環境、場所に出会えれば良いなと思います。

それでは、それでは。